君を想うとⅢ~True love~
『奪ってくれって言ってんだから、奪ってやりゃいいじゃん。
目にモノ見せてやりゃいいんだよ。
後悔させてやれよ。俺にケンカを売ったことを……、さ??』
独占欲の強い俺。
卒業したはずのガキな俺。
いつだって自信満々で
怖いものなんて何一つなかった俺。
そんな悪魔が頭の中でこう叫ぶ。
『欲望より理性を優先する俺なんて、俺らしくないぜ?
欲しければ欲しがればいい。
奪いたいなら奪えばいい。
傷つけても傷つけられても、いいんじゃない??
だって俺は高宮が欲しいんだもん。
オマエだってそうだろう??』
サンフランシスコの肌寒い風が俺の頬を優しくなでる。
勇気をだして振り返ると、砂浜には楽しそうに笑いあう高宮たちの姿があった。
『桐谷慎、大好き。』
そう言って。
俺の隣で笑ってくれた彼女を思い出して、胸の奥が苦しくなる。
『私がアンタを幸せにしてあげるから。』
そう凄んだ彼女を思い出して、もっと胸が苦しくなる。
高宮、
高宮、
高宮!!
こんな遠くから見ることしか出来ない、弱虫な俺。
感情よりも理性を優先させてしまう弱虫な俺向かって、悪魔は微笑みながらこう囁いた。
『自分に正直になれよ、慎。
恋愛にセオリーはない……だろ??』