君を想うとⅢ~True love~
その日の夜のコトは…正直よく覚えていない。
ただレオが酷く心配そうに俺を見ていたことだけは、よく覚えてる。
恋愛にセオリーはない。
久しぶりに唱えた自分の言葉に思わず笑みがこぼれる。
なんでこんな単純なコト、気づかなかったんだろう。
まるで昔の高宮みたいだ。
俺のコト、好きなくせに『キライ』だと嘯(うそぶ)いていた高宮と自分を重ね合わせて、少しだけ情けなくなる。
欲しいものは欲しい。
4年間、欲しかったものはいつだってキミだった。
あ~あ。
やっぱり俺はだめな男だね。
俺はキミを諦めることが、オトナの道なんだと信じてきたけどさ?
土壇場にくると、どうしてもダメみたい。
どんなに取り繕っても、俺はガキで独占欲の強い、ワガママ男なんだよ。
キミの幸せより、何よりも、俺は自分を優先させてしまうみたいだ。
高宮。
俺は明日、キミを奪いに行く。
後悔と、後ろめたさは全部俺が引き受けるから。
全部全部俺のせいにして、かまわないから。
俺のコト、許さなくなんていいから。
おとなしく、俺に攫(さら)われてね?
高宮。
俺は明日、キミの全てを奪いに行くよ――……