君を想うとⅢ~True love~
真実の愛をキミに
ズズイッと押し出された俺の目の前にいるのは、ガタガタと震えながら俺を必死に見つめる、高宮の姿。
ダメだ……
言いたいことは山のようにあるのに
伝えたい気持ちは、溢れるほどあるのに
そのどれもが意味を成さない。
抱きしめたい。
触れたい。
彼女を思い切り感じたい。
「ゴメン…」
それだけを呟くと、
俺は彼女を思いっきり抱きしめた。
「ズルイ…、ずるいよ、桐谷慎…!!」
高宮は俺の胸をドンと叩きながら、泣いていた。
「会いたかった!
ずっと会いたかったんだからね!?」
泣きじゃくる高宮を抱きしめながら、俺は彼女の髪をスルスルと撫でる。
あの頃と変わらない、黒髪のストレート。
あんなにも触れたいと願った高宮が、今俺の目の前にいる。
好きだ…
好きだよ、高宮。
心の中でそう呟いて。
目の奥からこみ上げる熱いものを必死に隠して、
俺は彼女を力いっぱい抱きしめた。