君を想うとⅢ~True love~
「うっ…、ふっ…。」
頬に流れ続ける温かい涙。
桐谷慎。
あなたはなんて大きな人なんだろう。
私はなんて大きな愛に包まれていたんだろう。
「高宮さん……。」
泣きじゃくる私を見て
田中さんはどう声をかければいいのか、困ってる。
だけど…ね?
これは悲しくて流れる涙じゃない。
苦しくて流れる涙でもないの。
「大丈夫…です。心配しないでください、田中さん。
コレは…嬉し涙ですから。」
桐谷慎の不器用な愛が心につきささる。
不器用だけど確かにそこにある愛に、私の心が痛くなる。
『信じてるから。愛してるから、この手を放すんだよ。』
その言葉の重みが今ならわかる。
それに…彼が意外と欲張りだったことも。
「……バカ……。」
こんなコトする必要なんてなかったのに。
バカな私なんてどこまでも騙し続けて
閉じ込めて
気づかせないフリをするコトだって彼ならできたハズなのに…。
桐谷慎はそれを許さなかった。