君を想うとⅢ~True love~


「最初はさ。
今度こそ諦めようと思ってた。
お前を諦める為にシスコに行こうと思ってた。

きっと遠くに行けば忘れられる。
時間がお前を思い出に変えてくれる。

そう…、思い込もうとしてたんだ…。」







しゅーちゃんは寂しそうな顔をしてポツリと呟く。
そしてハァ~と息を吐くと、私の目を真っ直ぐ見据えてこう言った。






「だけど…無理。
お前が俺以外のヤツにその笑顔を見せるのかと思うと、マジで腹立つ。
お前に触れられるのは俺だけであって欲しいと願っちまう。
伊織、俺はやっぱりお前が好きだ。」









ドキドキ

バクバク








うるさい。
さっきから心臓がバクバク脈打ってうるさい。





ねぇ、しゅーちゃん。
なんで今さらそんなコト言い出すの??


付き合ってる時そんなこと言わなかったし…
私が桐谷慎と付き合ってる時も、そんなコト一言も言わなかったじゃない。






なんで…
なんでこんな時にそんなコト言うの?
私、バカだから流されちゃうじゃない。






知らなかったしゅーちゃんのホントの気持ちに胸の奥がバクバクうるさい。






怖い。
しゅーちゃんの全部を聞くのが怖い。



私の知らなかった真実に触れてしまったら、私はどうなっちゃうんだろう…。




戻りたい場所はちゃんとある。
還りたいと願うのは彼の腕の中だけ。







だけど…
しゅーちゃんの全部に触れてしまったら二度とそこには戻れない気がして怖い。




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