ワイルドハート「短編」
闇が降りてくる。
月はいつかのように夜のカーテンから覗く。
うっすらと冴えている。





兵は闇が降りてくるのを見つけ叫ぶ声…。






「化物!」






次々に仕留められる。
その姿は黒い塊のように…。紅くなった瞳は獲物を探す。





血の臭いは風に乗って飛んでいく。






サドは外に出ると慌ただしくなっていた。






「やつが!」






怪物はこちらを向いた。





兵に囲まれている。だが異形の者は気に止めていない。





「怯むな!」
矢を次々放つ。
槍が刺さる。






黒い塊は動かなくなった。
月は薄い剣を厚い雲に隠す。




この隙にとサドは王の宝を持ち去った。
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