こねたぼっくす



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あれは、高2の5月だった。

ハマったゲームが歴史物で、勉強なんて大っ嫌いだったけど

これなら覚えられるんじゃないかって滅多に行かない図書室に行って歴史の本を借りようとした。

カウンターには図書委員がいるはずなんだけどそこには誰もいなかった。

図書室なんて来ないし、目当ての本がどこにあるかなんてわからない。


「困ったな…」


とりあえず本を探すより人を探したほうが早いか。

そう思って本棚を覗きながら歩き始めた。


中間に位置する本棚で、必死に手を伸ばす女の子を見つけた。

本を仕舞おうとしているけどぎゅうぎゅう詰めで入ってない。

もしかしたらこの子が図書委員かも?

向きを変えてその子に近寄る。


「変わろうか?」

「え…ひゃあああああ!」

「え、うそ…!」


俺が呆然としているうちにけたたましい音を立てて、本棚の本がその子に落ちてきた。

走りよって本を退かす。


「驚かせてごめん!大丈夫…?」

「あ、だ、大丈夫です…。こちらこそごめんなさい」


本の中にいながらその子が頭を下げた。



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