こねたぼっくす
黒ぶち眼鏡を掛けた2つ結びの女の子。
謝る必要なんてないのに謝るその子が面白かった。
手を貸して立ち上がらせる。
思ったよりもその子は小さかった。
でも上履きは同じ色だから、2年生だ。
「ごめんね、俺も手伝うよ」
「いや、あのっ…大丈夫です。私がやっちゃったから…」
「でも俺のせいでもあるから、ね?」
返事を聞く前に本をかき集める。
場所はわからないから集めるだけにした。
女の子も諦めたのか本を集めだした。
「どこに仕舞うか言って?俺がするから」
「迷惑かけちゃってごめんなさい…。えっと、その本は」
1冊ずつ場所を聞いてその通りに仕舞っていく。
その子の癖なのか、ゆっくりと紡がれる言葉が心地好かった。
全ての本を仕舞い終わったときには、大分時間が過ぎていた。
「遅くなっちゃってごめんなさい!」
「大丈夫!もともと俺が悪かったんだし」
「でも…」
そのとき、やっとその子と目が合った。
眼鏡越しだけど、凄く綺麗な目だと思った。
純粋で、真っ直ぐな――…優しい目だった。