その涙も俺のもの
「えっ?!いお君が風邪?!」
「そーなのよ。ちょっと疲れてるみたいね」
いお君が風邪をひいた。
私のせいかはわからない。
けど…
私が少しいお君に頼りすぎている気がする。
考えていると、ギッと階段を下る音が聞こえた。
降りてきたのは、制服姿にマスク。
顔が少し赤い、いお君だった。
「いお君?!」
「美優、風邪やから大丈夫。行くで?」
靴を履き始めようとする彼の腕を、私は引っ張った。