その涙も俺のもの
彼女がいるのに、違う人とも一緒にいるの?


私は訴えるような瞳でいお君を見つめる。



「嫌だこの子。庵に色目使ってない?」



すかさず女の人が言ってきた。


いお君はふっと笑う。



「俺にはそんなの意味ない。色気ねーし」



…いお君


普段は滅多に使わない標準語で淡々と喋る。


女の人に合わせたいから?



―そうだよね

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