その涙も俺のもの

「庵、早く行こうよ」


甘ったるい声でいお君に語りかける、女の人。




「あぁ、行こう」




私の横を通過する―…





「えっ?」



振り向いた時には、いお君達は角を曲がってしまって見えなくなっていた。


耳がじんと熱く感じる…。


…今の…


嘘じゃないよね…?


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