闇のプリンス ~オオカミと死の女神~《休載中》

下には再び森が広がり、その中心に光りに照らされた湖が見える。


「綺麗……まるでオアシスみたい 」


月の光で、湖がキラキラと輝いて見える。


「ここから先がシーラスじゃ。 人魚に出くわしたら、この飴玉を舐めるんじゃ 」


術を解いたモーガンが、みんなに小さな赤いキャンディーを渡した。

何これ。


「これを舐めれば、一時的じゃが、歌声を聞いても大丈夫じゃ。 良いか、最終的には、己の身は己が守るんじゃ 」


己の身は……己が守る。


人に頼ってばかりじゃだめってことね。


大丈夫。

きっと上手くいく。


緊張と不安の波に押し潰されそう。


飴玉をギュッと握ると、そっとポケットにしまった。


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