闇のプリンス ~オオカミと死の女神~《休載中》
仰向けの私の横で、お姉ちゃんが座って赤いペディキュアを塗りつつ言った。
「うわ、くさい 」
シンナーの臭いが漂ってくる。
私はパタパタと手を動かす。
「ほら、 そうやって伝えればいいじゃん。自分で行動しないと始まんないよ 」
「なんの話? 」
鼻をつまみながら、ぷくっと頬を膨らませてお姉ちゃんを見た。
「待ってるだけじゃ何も変わらないってこと。今の時代、女はちょっとくらい積極的でいいの 」
そう塗った爪をパタパタと乾かしながら笑った。
「お姉様にはお見通しだよ。気になるダーリンと上手くいってないんでしょ 」
お姉ちゃんは、私のことを見てないようでちゃんと見てる。
関心ないようで、気にかけてくれてるんだ。
「どうせ後悔するなら、納得行く行動をね 」
そう背中をポンッと叩くと、笑って部屋を出て行った。
「納得……か… 」
ふうとため息をついて電気を消した。