闇のプリンス ~オオカミと死の女神~《休載中》
とても演技をしているようには見えない。
でも、どうしても納得出来ない。
「私のこと、覚えてない? 」
「クラスメイトの小嶺だろ? それより、どうやってたどり着いたんだよ 」
「やっぱり、覚えてないの? 」
「何言ってるのこの子 」
ケイトは不気味そうに私を見てそう言った。
レイは黙ったままこっちを見てる。
“小嶺”って聞くだけで、心臓が張り裂けそうになる。
だってルキアは、ちゃんと名前で呼んでくれてた。
でも名字で言うってことは、本当に記憶がないから?
ほんとに忘れちゃったの?
「君、もしかして何か見た? 」
レイが何かを探るように問い掛けた。
「ただの追っかけだよ。 きっと付けてたんだ。ほら、もう帰って 」
ケイトは私にそう告げると、2人の肩を叩いた。
彼らは背を向けて家の方へ歩き出した。