闇のプリンス ~オオカミと死の女神~《休載中》
「じゃあ、さっきの続きを聞かせてもらおうか 」
「えっ? 」
レイはバタンとドアを閉めると、しゃがみ込んでいる私に視線を落とした。
「人間じゃないって、じゃあ何って言いたいのかな? 」
ケイトはニヤリと口角を上げると、私に顔を近付けた。
「えっと、あのそれは…… 」
とっさにあんな事を口走ってしまったけれど、本当によかったのか?
本気で記憶をなくしてるとしたら、ここで“ヴァンパイア”だと言ったらどうなる?
私……
「ごめんなさい。ほんとは…何も知らない…… 」
「なんだよ嘘かよ 」
「ごめんなさい。ただ、みんなに会いたくて………ルキアに会いたく…て 」
話したかった。
忘れてる振りをしているだけだと思いたかった。
けど、これでようやく目が覚めた。
私たちは、終わったんだ。
「あんた、ほんとに何も知らないの? 」
ルキアは少し曇った表情をした。
どうして……
どうしてルキアの記憶を消したの?
だったらどうして、私の記憶は消さなかったの?
どうせなら……
「どうせなら、私の記憶も消してくれればよかったのに…… 」