闇のプリンス ~オオカミと死の女神~《休載中》
悪夢のクリスマス
心の整理をつけたつもりでも、やっぱりすぐには無理だった。
自然に目で彼を追ってしまう。
目が合う度に、視線を外す。
「最近元気ないよね。大丈夫? 」
放課後の教室。
周りの生徒たちがそれぞれに行動する中、前の席に座る優希が心配そうに顔を覗き込む。
「大丈夫。元気だよ 」
そうニコッと笑って見せるけれど、すぐに表情は下がっていった。
「それならいいけど。何かあったら言ってよね。あ、ちょっとトイレ行ってくるわ 」
「ありがと 」
そう後ろ姿を見送ると、ふうとため息をついた。
ありがたい言葉。
優希がいてくれてよかった。
私はノートをパラパラと開きながら優希の帰りを待つ。
「ルキアぁ~、今日こそ一緒に帰ろうよ 」
「ケイトくん達も一緒に! ね、いいでしょ? 」
女子たちの弾む声が廊下から聞こえてきた。