闇のプリンス ~オオカミと死の女神~《休載中》
「樹里~、帰ろっ♪ 」
トイレから優希が帰って来た。
「う、うんっ/// 」
少し裏声になりながら、かばんを持って、汗ばむ手をスカートで拭きながら席を立った。
「もしかして、何か邪魔しちゃった? 」
「ううん! ……帰ろっ 」
優希の背中を押しながら、振り返らないで教室を出た。
忘れなきゃ……
わかってるのに、無意識に考えている自分がいる。
もう、諦めたつもりなのに……あんな風に話し掛けられたら、気持ちが抑えられなくなっちゃうよ。
家に着いて、リビングに入ると、そのままソファーにバタンと倒れ込んだ。
どうしよう。
まだドキドキしてる。
走ったからなのか、それとも別の理由?
「あぁ、ダメ。また考えてる 」
ため息をこぼしながら、頭をブルブルと振る。
でも、一体
あの時何をしようとしたんだろう。
まさか、手を繋ごうとしたわけじゃないよね。
ううん、違う。
でもあの状態だと握ろうとしてたのは間違いない。
急にどうしてぇ?