闇のプリンス ~オオカミと死の女神~《休載中》
「そんなんじゃ…ないけど 」
急にダークの言葉を思い出した。
――ヴァンパイアがいなければ争いは起きない。
普通の生活が出来る。
怯えなくていいんだ――
「怯えてなんか、ないよ 」
そっと私の肩に触れると、じっと流れる血を見つめている。
「怖くなんかない 」
「…… 」
不思議そうに私を見ると、そっと傷に触る。
「いっ…… 」
傷口が疼く。
ゆっくり顔を近付けると、唇が肩に触れた。
舌を少しだすと、ペロッと血を舐めた。
「ルキアが…好き…… 」
気持ちが溢れて、胸が張り裂けそう。
ずっと伝えたかったことが吐き出せたからか、心がスッと楽になった。
「血を吸われたって……いい 」
閉じた瞳から、一粒の滴がこぼれ落ちた。
「そんなこと言うなよ 」
そっと唇を離したルキアが、そう呟いた。