闇のプリンス ~オオカミと死の女神~《休載中》
黄金の少女
「おはよう! ねぇ、ルキアとどうなってるの? 」
学校へ着くなり、優希がニヤニヤと近付いてきた。
「どう…って? 」
きょとんとしながら、鞄を机に置く。
「昨日、いい雰囲気だったじゃん。ダンスも一緒だったでしょ? 」
あ……
知ってたんだ。
「うん……やっと、想いが通じたって感じかな 」
「何それ?! もしかして告ったの? 」
キャッキャとはしゃぎながら、私の肩に手を掛ける。
「話せば長いの。優希は? エドマンドと話せたの? 」
「あー、ううん。会ってない 」
急に優希のテンションが変わった。
私、いけないこと聞いた?
「エドマンドはいいの。ただ好きな先生ってだけだし 」
少し口をモゴモゴさせながら、目が泳いでいる。
「…ケイトって、彼女とか好きな子いるのかな 」
えっ、ケイト…?
― 人間だった頃は、そういう感情もあったのかな。100年以上も昔の事だから、忘れちゃったよ ―
ふとその言葉が脳裏に浮かぶ。
ヴァンパイアに…感情はない…
「いない…んじゃないかな 」