闇のプリンス ~オオカミと死の女神~《休載中》
「だとしたら、誰も何もしてなくて…私の記憶が残ってたってことは? 」
「それはまずない。だとしたら、ルキアに伝わるはずがない 」
ズキ…
伝わる…はずがない?
あれは、私の想いの力じゃないってこと?
ただかけられた魔法が解けただけってこと?
「普通は、以前の記憶をヴァンパイアが思い出すことなどない 」
想いが強かった…ってことには考えられないの?
「それもあるかもな 」
伏せ目がちな視線を上げると、ルキアが小さく笑った。
ルキア……
「詠めるようになったんだ 」
ケイトがニヤニヤとルキアを見た。
詠めるようになった?
「ずっと、力を使えなかったんだ。記憶と一緒に消されてたみたいだ 」
消されてたって……