闇のプリンス ~オオカミと死の女神~《休載中》
「どこ行くの? 」
草木を掻き分け、上へ上がると声を掛けられた。
あの白いワンピースを着た綺麗な女の人だ。
「そんなに急いで、どこへ行くの? 」
そう微笑んで、私の手を握ってきた。
「え、あの……? 」
戸惑いながら、握られた手を交わした。
後ずさりをしながら、私は急いでルキアの家に駆け込んだ。
「樹里ちゃん、慌ててどうしたの? 」
ケイトが驚いたように玄関のドアを閉める。
冷たい。
あの人の手、とっても冷たかった。
この寒さは、一体何?!
「ちょうど良かった。 今、樹里のところへ行こうとしてたところだ 」
リビングから、神妙な顔をしたルキアが出てきた。
「助けて、お姉ちゃんがいなくなったの! 」
ルキアの胸に飛び込むと、涙が溢れてきた。
お姉ちゃんに、もしものことがあったらどうしよう。
すごく怖い。