運命の初恋愛
逃げるように喫茶店を出て、向かった先。


やっぱり、市民病院。


駐車場を抜けると、緑色の景色が広がる。

芝生の上を少し歩いて、ベンチに腰掛けた。



瞳を閉じて、

「懐かしい……」

呟いた。


この場所で、ジュヨンさんを見かけて、声をかけた。
この場所で、一緒に過ごして、いつからか芽生えた想い。


突然の別れも――再会も、この場所だった。


この場所には、ジュヨンさんとの思い出が、たくさん詰まってる。



誰かを好きになる事に、臆病になっていた私の心を、簡単に動かしたジュヨンさん。


あなたのために覚えた韓国語。
毎日何時間も、勉強した。

誕生日の日、それを披露出来て、嬉しかった。

まさかジュヨンさんまで、日本語を勉強していたなんて、びっくりしたけど。


だけど、そのせいで迷惑かけちゃったね。
皆から非難されている、ジュヨンさんを見るのは辛い。


ただの一般人に、あんなに優しく接してくれる、素敵な人なのに……。
皆に誤解されたままなのは――嫌だよ。


それに、ジスさんの事も…………。


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