運命の初恋愛
「いいって、何が?」

「全部」


私が、諦めるべきなんだ。



「あのさ、木崎」

「ん?」


「僕が昔、木崎を好きだったの、知ってる?」


「えっ!」

私、びっくり。



「まだそんなに親しくない時――文化祭か何かの委員会で一緒になったじゃん?」

「えっと――……1年の時……?」


「初めての話し合いで、友達もいない、1人で座ってる女のコがいた――」

「…………」


「誰も気づいていなかったのに、木崎はそのコの隣の席に座って、話かけてた」


そうだっけ――?


「優しいコだな……って思った」


ドクン。

過去形であれ、誰かに「好き」と言われたのは初めて。
何だか緊張する。



「今でも、その優しさは健在なんだね」

「え……」


「ジュヨンさんの事だよ」

「…………」


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