運命の初恋愛
「……え?」


一瞬、泣きそうになった。

あまりにも、嬉しい言葉だったから――。


今まで、佐伯くんとの間には正直、いい思い出がなかった。


悲しい涙ばかり流してた……。
だけど、今日のは嬉し涙だよ。


「ありがとう」


そう答えるのが精一杯だった。



「俺の役目は終わり。あ、園部さんと俺からのアドバイス。『ちゃんと正直になれよ』って。じゃあな」

「?」


佐伯くんは、そう言い残して、Uターン。

そのまま帰っていった。



え?
こんな所に、置き去り!?


「何なの――っ?」


しばらく呆然としつつ。

右手に持ったままの封筒を開けてみる事にした。


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