運命の初恋愛
「……バカじゃないの……ッ」


そう吐き捨てて、ショートカットの女のコが私の横をすり抜けて行った。



「ちょっと、ヨリコっ!」

残りの3人も、ヨリコという、そのコを追いかけるように去っていった。



「ねえ、いいの?」

「あいつバカじゃん。もうほっとくの!」



ようやく解放された私は、すぐに立ち上がり、会場までの道を駆け出した。


待っていて下さいっ。
今行きますから。


私も、どうしても伝えたい事があります!



「すみません、忘れ物をして……」


そんな嘘でホールの中に入る(ごめんなさい)。

かすかに、ピアノの音がした。



急がなくちゃ……。

私の脳裏にジュヨンさんの姿が次々と浮かんでくる。


あと少し……。
あと少しで、私達――――……


< 179 / 213 >

この作品をシェア

pagetop