運命の初恋愛
『(今日、演奏した最後の曲は、ある女性のために作った曲です)』


『(全てをなくした僕に、寄り添ってくれた女性――。暗く孤独な世界にいた僕を、春の陽射しのように、優しく包んでくれた)』


『(その彼女を今、心から愛おしく思っています)』



コンサートで全ての演奏を終えて、ジュヨンが精一杯の想いを伝える。

客席にいる、彼女……。
ハナさんに向けて――。


素敵な告白……。
ステージの袖から、そっと見守る。



――と。


「!」

ハッとした。

客席の端の方に、韓国で有名な芸能カメラマンの姿を見つけて――。



――ダメ。
ジュヨン、今はダメ。

記者が来てる。



ジュヨンとハナさんは一度、噂になっている。

こんな所で告白なんて……。


大騒ぎなる――!


私は、とっさに足元に置いてあった花束を抱えて、

たくさんの照明の当たる、ステージの上に飛び出した。


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