運命の初恋愛
呆然とするジュヨンの耳元に、

「(芸能関係者が来てる)」

とささやく。



ジュヨンは仕方なく、私から花束を受け取った。



ワア……。
客席からの大歓声と引き換えに、
ハナさんの姿が消えていた。



コンサートが終わり、誰もいなくなった客席。

スタッフも楽屋へ戻り、私とジュヨンだけが残された。



まだ照明の当たるステージへ上がり、ジュヨンはピアノを弾き始めた。



曲が終わる度に、また始めから。


何度も、何度も……。


ハナさんへの想いをピアノに乗せて、一生懸命届けようとするジュヨン。


私は黙って見守っていた。


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