運命の初恋愛
――どうやって連れていくんだろう?
そう思ったけど、言葉を引っ込めた。
「あ……いえ、行って下さい」
「?」
「部屋に行きましょう」
先輩は、足長さんを立たせて手を引く。
「リハビリで歩けるようになったんだ。食事やトイレも」
私の心を読み取ったかのように、先輩が言った。
――何にも理解出来ないってわけじゃないんだ……。
「でも、なかなか心を開いてくれなくて……」
先輩が困ったように笑った。
「――そうなんですか」
「それじゃ」
先輩に誘導されながら、足長さんは、一歩一歩、長い足を動かしていく。
――本当だ。
ちゃんと歩けてる。
2人は病院の中へ入っていった。