運命の初恋愛
足長さん?

それは…………。



「えっ……と。その……ジュヨンさんが入院中、名前が分からなくて……私がつけた『あだな』です。
足が長い人だなーって思ったから、『足長さん』って。ずっとそう呼んでいました」


「(……そうなんだ。せっかくのハナとの思い出なのに、ちゃんと記憶に残ってないのは悲しいな)」


「ジュヨンさん……」


「(だけど、一つだけ。鮮明に残ってる場面があるんだ)」

「ど……どんな?」



「(どしゃ降りの雨の中、淡いブルーの傘をさした君が、あの中庭に立っている姿――)」


「えっ!?」


それって、あの日の事?


会いたいのに会えない日々が続いて、私はこっそり会いに行った。


結局、会えなかったけど……。


あの時、足長さんが中庭に出た理由は――……


もしかして……?



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