運命の初恋愛
「うん?」

視線を下げると、3歳くらいの、小さな女の子がこっちを見上げていた。



「このおじちゃん、なんにもしゃべらないのに、どうちていつも、いっちょにいるの?」


その子が、不思議そうに聞いてきた。



「ふふっ。お姉ちゃん、このおじちゃんに、色々な話を聞かせているの」


私は笑顔で答えた。



「ふぅん。たのちぃの?」


女の子の質問に、チクッとした。



「うーん、おじちゃんは何も話してくれないから、ちょっと悲しいかな」


私がため息をつくと。



「ミカが、なぐさめてあげる」

「えっ?」


女の子が、ベンチに上って、


「よちよち」


私の頭を小さな手で優しく「なでなで」してくれたんだ。



胸の奥に、あったかい気持ちが広がった。

ミカちゃん、って名前なんだね。



「ありがとね、ミカちゃん」

「どういたちまちて」


ミカちゃんが、ピョンっ。
ベンチから飛び降りた時だった。


勢い余って、ドンっ!


しりもちをついた。


< 34 / 213 >

この作品をシェア

pagetop