運命の初恋愛
「どうしてっ――」


足長さんの目頭から、流れるモノが――。


「泣いてるの?」


私、涙を手で拭ってあげながら言う。


そうだよね。
心が空っぽなのも、虚しいよね。


どんな感じなのか、想像もつかないけど……。


全ての記憶を失ってしまっても――…

それでも――生きている限り、


『不安』や『恐怖感』を。

きっと、感じているよね。



胸の奥が、ぎゅっと痛んだ。


眠りながら涙を流す、この人が――。


ただ、愛しくて――愛しくて。


気づいたら――。



「私が、そばにいてあげる」



そっと足長さんを、抱きしめていた。



――確信した。


私は、この人を…………。



「――――好き」


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