運命の初恋愛
ふうっ。

お母さん、鋭い。
さすが、子供の事よく見てる。


私が、前勤めていた会社で、辛かった時期。

だれよりも早く、私の異変に気づいてくれたのも、お母さん。

昔から、友達のように何でも相談してきた。


初恋から失恋。
友達とのケンカ。


もう少ししたら、足長さんの事も話そうかな……。



「今日も遅いの?」

玄関を出ようとした時、お母さんが聞いてきた。


ザア――…


外は、雨。
今日は、病院行けないな。



「ううん。2時半くらいには帰れる」

「そうなの?」


「うん。じゃ、行ってきます」


ドアを開けると、降り続く雨の音が大きくなった。



「あーあ」

ため息が出る。


恋に気づいた途端、会えないのかぁ……。

神様のイジワル。



車の窓から、傘をさして歩く人達が目に入る。


「よく降るな――」


明日は晴れてよね。
早く会いたいから。


< 46 / 213 >

この作品をシェア

pagetop