運命の初恋愛
――仕事中。


「いらっしゃいませ」

と、

「ありがとうございます。またお越しくださいませ」

を、何度も繰り返しながら。



止まない雨にヤキモキしつつ。



「好きな人がいる」事が。


誰かを想う、その気持ちが、ただ嬉しくて。

それだけで、頑張れた。



明日は、晴れるといいな――。


だけど、次の日も……次の日も……その、次の日も。

雨は止んでくれなかったの。




昨日、どうしても会いたくて、病院の中庭まで行ってみた。


当たり前だけど、足長さんはいなかった。



帰り際、足長さんの足音が聞こえたような気がして――。


何度も振り返ったけど、結局、気のせいだった。



会えないのに、想いが、溢れていく――。


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