運命の初恋愛
「昨日、足長さん、雨が降ってるのに外に出たんだ。傘もささずに」


「昨日……?」

意外な言葉に驚く。


「いつも中庭に出てた時間。木崎と一緒に」

「…………」


私が行った時は、居なかったから――。

帰った後かな――?


……じゃあ。
あの時、聞こえた気がした足音は、虫の知らせ?


もう少し、待っていれば――…
もしかして、会えた?


「雨に濡れて、体調を崩して……その日の夕方から熱が続いて」

「え……」


「今朝方、熱は下がったんだけど、様子が変で……その時にはもう、記憶が戻ってたんだ」


「…………っ」



「木崎、大丈夫?」

先輩が心配そうに、聞く。


「……はい」



それで…――――?

足長さんは?
どこに、行っちゃったの?



「足長さんの身元なんだけど――」


私の気持ちを察したのか、先輩が口を開いた。


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