運命の初恋愛
それにしても。


歩きながら、改めて思う。



ここって田舎だな――――って。



ビルらしいビルは建っていないし

町で唯一の商店街も『貸し店舗』だらけ。




地下鉄なんて有り得ないし

(電車もなく)汽車は1~2時間に1本のペース。


バスも滅多に通らない。



そのバス停を通り過ぎた所で、


「近道しようかな」


そう思って、細い裏道に入った。




そのとき。


ふわっ。


と吹いた、春のそよ風に誘われて


ふと足を止めた。




――市民病院。



どこにでもある、普通の病院。



そこに、あなたがいた――。




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