運命の初恋愛
#13 【傷心】
「木崎?」

「佐伯くん!?」



これ以上、ジュヨンさんとジナさんの姿を見るのが辛くて、後ろを向いた時だった。


高校時代、見事に玉砕した相手、佐伯雅人が立っていた。



「どうして、ここに?」



この質問には答えず、

「ちょっと来て」

強引に私の腕を掴んで、歩き出した佐伯くん。


なっ、何――っ!?


中庭から少し離れた所で、掴まれていた腕が自由になった。



「何で、ここに?」

今度は佐伯くんが、同じ質問をした。


「演奏会を……聴きに……」


私が答えると、


「それだけか?」

少し怒った口調で、そう聞いてきた。


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