ホワイトライト、サマーズエンド
Prologue(ケイ)
1.2度目の東京
光のまたたきと、闇との反芻。オレンジ色のその光をひとつずつ数えていく。
トンネル内の風景は強いコントラストをつけて、映画のような様相で目に飛び込んでくる。
85個目を数えたところで、車はトンネルを抜けた。
荘厳な夜の山々のあいだを縫うように導く道を進む。
真夏の夜は重い湿度と憂鬱をたたえている。
少なくともわたしには憂鬱だ。わたしは夏が嫌いだから。
車が進むごとに徐々に増えていく建築物、人の数に比例して灯りがともる。
ひときわ高いビルのてっぺん、赤いライトを見つけたとき、
ラジオから低く投げやりでいて強い、女の声が響いた。
なぜならば夜は、わたしたちのためにあるから
この人の歌を聴くたびに、わたしは少し泣きそうになる。彼女の歌もそんな風だった、と思い出す。
あれも夏だった、梅雨が終わり雨雲がどき、空には焼きつくすように太陽が燃えていた。
まるで蝉のように、高らかに命を燃やすように生きていた彼女を理解するには、わたしはまだ幼すぎた。
トンネル内の風景は強いコントラストをつけて、映画のような様相で目に飛び込んでくる。
85個目を数えたところで、車はトンネルを抜けた。
荘厳な夜の山々のあいだを縫うように導く道を進む。
真夏の夜は重い湿度と憂鬱をたたえている。
少なくともわたしには憂鬱だ。わたしは夏が嫌いだから。
車が進むごとに徐々に増えていく建築物、人の数に比例して灯りがともる。
ひときわ高いビルのてっぺん、赤いライトを見つけたとき、
ラジオから低く投げやりでいて強い、女の声が響いた。
なぜならば夜は、わたしたちのためにあるから
この人の歌を聴くたびに、わたしは少し泣きそうになる。彼女の歌もそんな風だった、と思い出す。
あれも夏だった、梅雨が終わり雨雲がどき、空には焼きつくすように太陽が燃えていた。
まるで蝉のように、高らかに命を燃やすように生きていた彼女を理解するには、わたしはまだ幼すぎた。