ホワイトライト、サマーズエンド

5.傍観する自分

愛車〜一番稼いでいたときに買ったトライアンフのボンネビル〜の上で、
俺は残っていた煙草を全部吸い尽くす勢いだった。
駐車場内の熱気は逃げ場がなく滞留して、
俺の脳内もぬるい風呂をかきまわすみたいにリオの記憶があふれてくる。

携帯を取り出しリオの番号を表示させる、それでも通話ボタンは押せない。

このところリオは滅多に電話に出ない。
写真家のアシスタントの仕事が忙しく、夜中も何時に帰っているかわからない。
そう思って連絡しないままもう10日も声を聞いていなかった。

「最近自分の仕事がもらえるようになったんだよ」

そう嬉しそうに言うリオは凛として、逆に大口の仕事が減ってきた俺はどこか心の捻れる思いだった。
リオはそれを察してか察さずか、あまり仕事の話をしなくなった。

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