ホワイトライト、サマーズエンド
Chapter2(ケイ)
1.最悪の目覚め
『こんな中途半端な子ども残されても誰が面倒見るのかね』
いいよ、面倒見てもらわなくても自分のことは自分で出来る。
『あんた少しのあいだに随分痩せたんだねぇ』
おばあちゃん、痩せてるのは前からだよ。
『奈津子』
おばあちゃん
わたし、ケイだよ。
目が醒めると視界が真っ白だった。ぐっしょりと汗をかいて、頬は額からの汗と涙で、濡れていた。
いつもと違う匂い。草っぽい、珈琲のような麝香のような苦くて清冽な――
その瞬間、わたしはまたやった、と飛び起きた。
チャコール色のカーテンの織り目からこぼれる光、白い大きなベッドと白いシーツを照らしている。
黒いワンピースは、車の中で着ていたまま。
クイーンサイズくらいありそうなベッドを見渡しても、自分以外の人間は寝ていない。
何回か経験した無防備な朝、それは先ず地味なボディブローのような後悔で始まる。
それが今日は記憶の整理がつかないせいで、二日酔いの頭で記憶を紡ぐことを優先させる。
この部屋の中は片付いているとは言い難いもののあまりものがなく、
大きな家具が広い部屋に鎮座している印象だった。
どれも強く主張しないのに、どうにも高そうに見えるものばかりだ。
わたしはベッドから降りて、不思議な感触のラグマットの上を歩いた。
毛足が黒いマニキュアを塗ったわたしの足をくすぐる。
わたしはもう一度、服を着ていることを確認して、ベッド下のラグに腰を下ろした。
いいよ、面倒見てもらわなくても自分のことは自分で出来る。
『あんた少しのあいだに随分痩せたんだねぇ』
おばあちゃん、痩せてるのは前からだよ。
『奈津子』
おばあちゃん
わたし、ケイだよ。
目が醒めると視界が真っ白だった。ぐっしょりと汗をかいて、頬は額からの汗と涙で、濡れていた。
いつもと違う匂い。草っぽい、珈琲のような麝香のような苦くて清冽な――
その瞬間、わたしはまたやった、と飛び起きた。
チャコール色のカーテンの織り目からこぼれる光、白い大きなベッドと白いシーツを照らしている。
黒いワンピースは、車の中で着ていたまま。
クイーンサイズくらいありそうなベッドを見渡しても、自分以外の人間は寝ていない。
何回か経験した無防備な朝、それは先ず地味なボディブローのような後悔で始まる。
それが今日は記憶の整理がつかないせいで、二日酔いの頭で記憶を紡ぐことを優先させる。
この部屋の中は片付いているとは言い難いもののあまりものがなく、
大きな家具が広い部屋に鎮座している印象だった。
どれも強く主張しないのに、どうにも高そうに見えるものばかりだ。
わたしはベッドから降りて、不思議な感触のラグマットの上を歩いた。
毛足が黒いマニキュアを塗ったわたしの足をくすぐる。
わたしはもう一度、服を着ていることを確認して、ベッド下のラグに腰を下ろした。