ホワイトライト、サマーズエンド
Chapter1(リュウ)
1.ある最悪な1日
「ちょっと、御崎さん」
何か不穏な予感を含めながらも平静を装った声色で原が、これから云わんとしていることは大体予想出来た。
だからこそどういう顔でそれを聞いてやろうかと考えて、わざと勢いよく振り向いた。
「何?」
自分が出そうとしていた声より、一段暗いトーンの声。
それを聞いてから原は食えない顔、というやつをして続けた。
「今度のブランドの広告写真の話、なくなったんすよ」
原は右手に持っている煙草のケースと俺をせわしなく見比べる。
童顔の原にマルボロの赤はなんだか似合わない。
俺は答えを用意していたつもりだったが、実際にはまるで返す言葉が上手く出て来なかった。
原はそんな俺を見て眉を八の字に整形し直して、続けた。
「ブランドイメージの計り直しってことで御崎さんが選ばれたんだけど、
お偉いさんがやっぱりって、結局NG出しちゃって新人クン使うことにしたんだって・・・
あの・・・ショーンっていうハーフの新人モデルで」
「知ってるよ」
原の言葉を制止するように怒鳴ると、原は小さくすいません、と言った。
なんでお前が謝るんだよ、意味わかんねえ。
この世界そもそも仮契約なんて信じる方がおかしいかもしれないが、
その大手ブランド広告の話にこんな俺でも少しの希望を抱いたのに。
ぬか喜びさせんなよ。
少しでも浮き足立っていたスタッフたちと、何よりこの瞬間までの俺が酷く滑稽で、まぬけに思えた。
「やっぱりな」
自嘲気味に言ってから、その言葉の嘘の調子に自分で苛つく。
その辺にあるものに八つ当たりしそうになった俺は、原に背を向け部屋から廊下に出た。
何か不穏な予感を含めながらも平静を装った声色で原が、これから云わんとしていることは大体予想出来た。
だからこそどういう顔でそれを聞いてやろうかと考えて、わざと勢いよく振り向いた。
「何?」
自分が出そうとしていた声より、一段暗いトーンの声。
それを聞いてから原は食えない顔、というやつをして続けた。
「今度のブランドの広告写真の話、なくなったんすよ」
原は右手に持っている煙草のケースと俺をせわしなく見比べる。
童顔の原にマルボロの赤はなんだか似合わない。
俺は答えを用意していたつもりだったが、実際にはまるで返す言葉が上手く出て来なかった。
原はそんな俺を見て眉を八の字に整形し直して、続けた。
「ブランドイメージの計り直しってことで御崎さんが選ばれたんだけど、
お偉いさんがやっぱりって、結局NG出しちゃって新人クン使うことにしたんだって・・・
あの・・・ショーンっていうハーフの新人モデルで」
「知ってるよ」
原の言葉を制止するように怒鳴ると、原は小さくすいません、と言った。
なんでお前が謝るんだよ、意味わかんねえ。
この世界そもそも仮契約なんて信じる方がおかしいかもしれないが、
その大手ブランド広告の話にこんな俺でも少しの希望を抱いたのに。
ぬか喜びさせんなよ。
少しでも浮き足立っていたスタッフたちと、何よりこの瞬間までの俺が酷く滑稽で、まぬけに思えた。
「やっぱりな」
自嘲気味に言ってから、その言葉の嘘の調子に自分で苛つく。
その辺にあるものに八つ当たりしそうになった俺は、原に背を向け部屋から廊下に出た。