Dear
ガタンッ
「え?心愛?」
思い切り席を立ち上がった私を驚いたように見る陽ちゃんも、今は目に入らなくて、
おもむろにノートとシャーペンを取り出し、私は教室を飛び出した。
途中、「日向!?」という担任の声がしたけど、とにかく私は走った。
階段を上がって、上がって、上がって、
息が切れる頃、着いた場所は優しい風が吹く屋上だった。
すぅ…と大きく深呼吸してから、
フェンスの側に行き、腰を下ろしてからノートを開いた。
「なんでこんなに言葉が浮かぶんだろ…。」
自分でも不思議なくらい、
"青葉先輩"と呼ばれるあの人の笑顔を見た瞬間、
違う世界に飛ばされたような感覚だった。