雫〜あたしと先輩〜
表の自分
傷口と同様、何事もなかったようにあたしは学校に登校した。
――――――ガラッ
「李亜ー!おはよう!」
「…おはよう!」
親友のマリがあたしに気付き、近寄ってきた。
「ん?なんか元気なくない?」
さすがマリ。するどい。
けどあたしは明るく振舞う。
「そうかな?たぶん寝不足だからかも!」
「あー。お母さん帰ってきたんだ。」
「そうそう!急に帰ってきて、いろんな人の愚痴聞かされたー。」
「ははは。どんまーい。」
親友に付く嘘。
もちろん初めてではない。
母親とのことがバレないように必死で隠す。
リストカットの跡がバレないように、長袖で隠す。
それがあたしの日課だった。