となり
ザブ~ンと
波が砂浜を濡らしていた
私は砂浜にしゃがみこみ
小さくうずくまった
そして…涙が自然に溢れた

自分でもなぜ涙が溢れたのか
わからなかった
だけど目を閉じると
何で彼は知己といたんだろう?
何で彼と上手く行かないの?
何で彼と話せないんだろう?
自分ヘの問いかけは続く…

そして気が付いた
私の恋の病は幸せから
苦しみに変わっていく
そして…とめどなく涙が溢れる
初めての恋は
楽しいことばかりじゃなかった
胸が苦しくそして…
今にも息ができなくなる
何を見ても嫉妬…
そして何度も涙が溢れる
あと何回流せば
病は癒えるのだろう

外で泣き出してどのくらいの
時間が経ったのだろう
目を擦りながらロビーに入ると
『もえ』と梨沙子が声をかける
『どこ行ってたのよ』と
なかなか戻ってこない
私を心配し探していたようだ

『ごめん』と
私はさっきまで泣いて
少し赤くなった目を隠しながら
梨沙子から目をそらす
部屋に戻るともうそこには
信吾の姿はなかった

『瑞木も結局来なくて、もえも帰ってこないし。結局何も決められなかったよ』と
梨沙子はパンフを見ながら話す
『ごめんね。私お風呂入るね』と
シャワールームに入り
そして再び涙を流した
< 103 / 411 >

この作品をシェア

pagetop