となり
第10章 ~林間学校(後半)~
波の音がし時計を見ると
まだ四時半―
眠ったつもりだったのに
体はだるく眠た気がしなかった
目を擦り梨沙子を
起こさない様にベッドを出ると
スウェットの上に上着を羽織り
部屋を出ると廊下は
音ひとつなかった

昨日と同じ海沿いに出ると
そこには彼の姿があった
彼が私に気付くと
『お、おはよう。どうした?』と
オドオドしながら声をかける
私は彼の所までゆっくり歩き
『おはよう』と
小さい声で答えた

ザブ~ンと
波の音だけが響く
そして私は少し間を開け
彼の横に座った
じっと海を見つめ会話はない

クシュンっと
私がクシャミをすると
彼は立ち上がり
『風邪引くぞ。戻ろう』と
私の左手を掴むと
昨日買って付けていた
ブレスレットが光り彼が見た
私は彼がSのイニシャルに
気づくのが怖くて
彼の手を軽く払い
『ありがとう、大丈夫』と
足早に砂浜を歩いた

そして部屋に戻ると
梨沙子も調度起きていた
『もえ?どこ行ってたの?』と
問いかけられると
『喉渇いたからジュース買いにね』と
誤魔化しながら
私は洗面所に向かう

そして昨日と同じ大広間に行き
朝ごはんを済ませて
ロビーに集合をし
先生が連絡先を書いた紙を
各自渡され解散した
< 104 / 411 >

この作品をシェア

pagetop