となり
『じゃあ、行くか』と
パンフを片手に持ち
信吾は歩き出すと
その後ろを彼が歩いている

私は今朝のことが
頭から離れない
彼はきっと私の態度に
嫌な思いをさせたんじゃないか
手を払いのけてから
彼は一言も言葉を言わずに
部屋に戻ってしまった
傷つけてしまったと感じた…

『もえ?どうした?』と
梨沙子は心配そうに
私の顔を覗きそして問いかけた
私は首を横に振り
『何でもないよ』と
ニコッと笑って見せる

バスに乗り込むと人が沢山いる
『おいっこっち座れ』と
信吾が二人腰掛け席を
指さしながら笑うと
私と梨沙子に席を譲った
『ありがとう』と
梨沙子は言うと腰をかけた

梨沙子はパンフを開くと
『白い恋人どこにあるかな?』と
ペラペラとめくっていると
『お前、またそれかよっ』と
信吾が手すりに
ぶら下がりながら
梨沙子にツッコむ
私はクスッと笑い
『信吾、私も白い恋人欲しいな』と
梨沙子のパンフを覗き込む

『えっ、もえが言うなら、仕方ないな』と
信吾は笑いながら
梨沙子を見て言う
『何じゃそりゃ~じゃあ信吾は買うなよ』と
梨沙子は口を尖らせながら言う
そんな仲のいい二人の姿が
また羨ましいと感じた
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