となり
そして彼を見ると
私から目を反らしている姿に
切ない気持ちになった
二人の距離が近づいたと
感じたのに今は二人の距離が
近くにいるのに遠く感じる

観覧車の空気もさっきまで
二人の鼓動の音が重なったのに
今は息苦しさに変わっていた

ガタガタと揺れ扉が開く
『ありがとうございました』と
係員が言うと私は勢いよく
外に飛び出し走り出した

『おいっ待てよ』と
彼が私を追いかけてくる
私は息を切らしながら必死で
走るが陸上部の彼には
私の走る速さなど
楽勝かのように
すぐに追い付かれ
また私の腕を掴んだ

『離して』と大きな声をだし
腕を引き払ったうと
『何なんだよ。いきなり泣いたり、怒ったり、叫んだり、全然意味わかんね~し』と
彼は少し怒り口調で言うと
『何もわかってない。私がどんな想いでいたなんて、ずっとずっと…』と
叫び再び歩き出す

『何だよ。理由を言わないと何もわかんないし。それに、自分だけ悩んでました的な顔すんな。俺だって色々考えてたんだ』と
私の腕を再び今度は
強い力で掴んだ
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