となり
自転車に股がり走り出す
後ろでは母親が小さく
手を振りながら見送っていた

遊歩道の道は綺麗に
桜の木が並んでいる
風が桜の花びらを
雪のように降らしていた…

『もえ~早くっ』と
知己が少し急ぎ気味に
自転車をこぎ始めた
少し走った先に
小さい坂道がある自転車を勢いよくこぐ
はぁ はぁ…と息があがる
坂道の途中くらいで
立ちこぎに変わると
『うわ~朝からキツイ~』と
私は息を切らしながら
大きい声をだし叫んだ
クスッと笑い知己は
『これから、三年間この坂道との戦いだね』と
知己を見ると少しも
息が切れていない…
私は何だかそれが悔しかった

坂道を下りしばらく
遊歩道は一本道になっている
犬の散歩をしている人
ジョギングをしている人
桜の花びらが散りながら
みんなを包み込む

『もえは、部活何にするの?』と
知己が急に話かけてきた
私は小さい頃からずっと
ピアノをやっていた
楽器が好きだった父親の影響だ
小学校の時も吹奏楽クラブに
入っていたので
中学に入っても
吹奏楽をやると決めていた
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