となり
『初めて俺達が会った日のこと憶えてるか?中学の入学式の日、桜が咲いて綺麗だった。あの日入学式が待ち通しく、なかなか寝れずに、早く学校に来たんだ。だけど早過ぎて、この桜の木を見つけて、小さい頃に父さんと木登りをしたことを思い出して、あの日も木に登ったんだ。よく木に登ると時間を忘れるくらい夢中になって、いつも父さんが探しに来るんだ。でも母さんと父さんが突然離婚するって決めた時、俺の小学校の卒業式の前日だったんだ。必ず式に出席するって父さんも母さんも約束したのに、俺に内緒で離婚してた。結局卒業式に母さんの姿しかなくて。家に帰ったら、父さんの荷物も父さんの姿もなかった。母さんは何も言わずに、¨ごめんね¨って言うだけだった。それが、すげー悔しくて、その日家を出て木に登ったんだ。もしかしたら父さんが、俺を探しに来てくれるって期待して、だけど父さんは来なかった。もえと会った日も、今度こそ父さんが来てくれるって、期待して木に登ってた。だけど俺を見つけてくれたのは、父さんじゃなく、もえだった。それから気がつくと隣には、もえがいつもいてくれて。いつしか、もえが俺の中で初めてから今も変わらず、一番大切な存在って思ってて、よく上手く言えないけど…』
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