となり
そこには…
¨久保高校¨と書かれていた
¨ドキンっ¨と心臓が鳴る
彼と同じ高校に行けない不安と
高校について何も
話てくれない不安が入り交わる

そして私の視線を感じたのか
彼が隣にいる私を見る
『ん?どうした?』と
彼はいつも通りの態度で
優しく笑い問いかける
私は聞きたい気持ちを抑え
『何でもないよ』と
必死で笑って見せた

放課後になると
バタバタと生徒が動き出す

『もえ、俺今日も部活だから行くけど、また夜連絡するな』と
荷物を抱えながら
椅子から立ち上がると
彼は手を振り教室を
足早に出ていく

私は小さく『うん』と頷き
少し寂しそうに去って行く
彼の背中を見ていた

夏休みが明けてから
今まで休んでいた理由なのか
彼は前より部活に力を
入れるようになった

付き合うようになっても
二人でいる時間は
教室にいる時だけと
感じるくらい少なくなっていた

彼が言うように夜は必ず
メールや電話をしてくれていた
私は部活で疲れてると思って
気を使ってしまい
なかなか話たいことも言えず
聞きたいことも聞けなかった
近くなったと感じた距離は
何故か今は遠くに感じる

そして今日見てしまった
彼の志望校…
私はまた胸の鼓動が早くなった
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