となり
いつも歩いている
廊下が今日は長く感じる
人がパラパラと歩いているのに
なぜか私だけしかいない
寂しい気持ちになった
下駄箱で靴を履き替え
外にでると私はなぜか
自然にあの桜の木へと
足が向かっていた
風が少し冷たく桜の木の葉が
ワサワサと揺れている

初めて彼を見つけた日のことや
告白の返事をもらった日を
思い出していた

『どうして彼は何も話てくれないのかな。同じ高校に行こうって話したわけじゃないけど、普通に一緒の高校に通えると思ってた。それにクリスマスの話も何も言ってくれないし。冬休み位二人で一緒にいたいって思ってたのに。何だか付き合う前のほうが楽しかった』と
私は桜の木の下に
うずくまりながら囁き
ポロポロと流れる涙を拭いた

恋愛ってもっと
幸せなものだって思ってた―
どうして両想いになっても
辛いことがあるんだろう
二人でいるのに孤独を感じる

その頃の彼は…
『お疲れ、瑞木。体大丈夫か?』と
陸上部の顧問の吉田先生が
彼に声をかける

『はい、大丈夫です』と
彼は少し息を切らし答えた
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